全てをくれたあなたに
雨が弱まり、今のうちに学校に戻ろうと来た道を戻る。
古びたマンションや空き家の立ち並ぶ道に差し掛かった時、女の子のすすり泣くような声が聞こえた。
ルナも気づいたようで、足を止めて耳を澄ます。
「・・・真白?」
立ち止まった私達に気づいた龍二達が不思議そうな顔をする。
『女の子の声、聞こえたの。』
「声?」
『うん、泣いてるの。
・・・それと男の人の声も。』
そう話している間も女の子のすすり泣く声は続き、時折助けを求める言葉も聞こえてくる。