全てをくれたあなたに
光に近づくと辺りは明るく照らされ、周りに目を向けると無数の黒い手が私を捉えようと伸びてくる。
光へと急ぐも、逃げられずにその手に捉えられてしまう。
引きずり込まれて諦めたその瞬間、小さな光は膨れ上がり、その中から白い大きな手が伸びてきた。
あまりの光の強さに私は目をつぶり、周りの黒い手はうめき声を上げて次々と塵になっていった。
その大きな手は優しく私を包み込むと、光の中へと引き込んだ。
固く閉じていた目を開けると、最初と同じく白くふわふわとした空間にいた。
悪夢のような映像の連発により私の頭は混乱していた。
落ち着こうと膝を抱えてその場に座り込む。
どのくらいそうしていただろうか。
どこからともなく微かに聞こえる声に顔を上げた。