全てをくれたあなたに
何を言っているのかうまく聞き取れず、しばらくの間耳をすました。
しかし聞き取る前に声は無くなってしまった。
その代わりに今度は私の頭が優しく撫でられるような感覚がした。
壊れ物を扱うように触れる手。
――――みゃあ
聞き覚えのある鳴き声の後、頬にザラりとした感覚。
そして顔の辺りにふわふわとしたものが当たる。
何なのか確かめようとするも、意識がこちらと現実を行ったり来たりしていて出来ない。
それを繰り返すうちにだんだんとリアルになってきた感覚に私はふわふわしたものに手を伸ばした。
暖かい。
そう感じると共に私は重いまぶたをゆっくりと開けた。