全てをくれたあなたに

『気持ち悪い…』





自分でも聞こえづらいほどの掠れた声で呟く。





自分では何も感じなくても身体は悲鳴を上げているのだろう、うまく動かない腕で頭から何日かぶりのシャワーを浴びた。





目を閉じてしばらくの間シャワーに打たれた後、脱衣所に常備してあるバスタオルで体を拭いた。






そして、壁に丁寧にかけてある腰から下がふわりと広がり、綺麗なレースがふんだんに施されている服――ドレスを身にまとい、廊下に出た。






なぜ私がドレスを着ているかというと…






「あ!いたいた!」





高めの声の後にパタパタとこちらに駆け寄ってくる足音。






「お姉ちゃん遅いよっ!
瑠璃華待ちくたびれちゃった!」






ニコニコとこちらを見てくるのは、私がドレスを着なければならなくなった原因である瑠璃華(るりか)。
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