全てをくれたあなたに
自分が口ごもったことで気を使わせてしまったことに申し訳なく思い、私は思い切って口を開いた。
『自分の名前は分かりません。
今までは・・・人形、と呼ばれていました。』
「人、形・・・?」
何の感情も込めずそういった私に息を呑む2人。
「・・・そう。そんな呼ばれ方を・・・
あなたに一つだけ伝えておくわ。
あなたはもう自由よ?今までどんな所にいたのかは分からないけれど、龍二が助けた以上、もう人形なんて呼ばせない。
そんな身体になるような生活なんて絶対にさせないわ。」
だから安心しなさい、と凛は目に涙を溜めて言った。
「点滴だけ変えていくから龍二、後はよろしくね。
朝になったらまた来るわ。」
そう言って点滴を変えると私の頭を優しく撫でて去って行った。