全てをくれたあなたに
「ところで真白、俺の事は覚えているか?」
急に真剣な顔をする龍二。
『・・・あの時、窓の所にいた人ですよね?』
あの時とは、私が逃げ出す前の日の夜中に人気の無い道路から龍二がやってきた時のことだ。
「そうだ。あの時俺は真白に助けると言ったはずなのに、今のお前はこんな状態で無理にでも助けに行かなかったことを後悔している。」
すまない、と頭を下げる龍二。
『頭を上げてください、龍二さん。
今私はこうして生きています。それだけでもう充分助けられています。』
ありがとうございます、と今度は私がゆっくりと頭を下げた。
何秒かして顔を上げると、ふわっと何かが体を包み込んだ。
龍二さんだった。
ベッドにいるため横向きに抱き締められる形だが、とても居心地がよく、龍二さんの規則正しい心臓の音を聞きながら私は再び眠りについた。