全てをくれたあなたに
美しい容姿に華やかなドレスを身にまとうも、自由のないその体はまさに囚われの姫だ。
不思議そうにこちらを見ているが、その大きな瞳は闇に染まり、生気が無く、何の感情も読み取れない。
こんなにも感情を読み取らせない者は初めてだったため、俺は困惑した。
逃げたいか?
口パクでそう言ってみるが、少女は分からない、というように首をかしげた。
すると突然顔が強ばり、ばっと後ろを振り向いて、俺になにか合図をし始めた。
しかし少女は突然俺に背を向け、鎖の限り窓から離れると壁に背をあずけて座り込んだ。
それと同時に3人の男が入ってくる。
俺は反射的に隠れた。
暫くしてそっと窓を覗き込むと、少女が3人の男に殴られ、蹴られていた。