全てをくれたあなたに
『っ』
男達の暴力に抵抗することなく人形の様に折れ曲がる体。
余りに無抵抗で、死んでしまっているのでは、とヒヤリとする。
見ているのに何も出来ない今の自分の無力さに拳を握り、ギリッと歯軋りをした。
そうしてい内に男達は飽きたのだろうか、笑いながら部屋から去り、再び鍵をかけた。
俺は少女の命が気になり、道路のところまで来ている銀司の存在を無視してそのまま立っていた。
暫くすると少女がよろよろと立ち上がり、口の端から垂れる血を拭うこともせずに窓のそばまで寄ってきた。
少女はまだいる俺に驚く素振りも見せず、口パクで帰って、とだけ言った。
俺はこれ以上ここにいるの危険だということもあり、助けるとだけ言って銀司の元へ戻った。
『悪い、待たせたな。』
「いえ、お気になさらず。
・・・あの少女は?」