全てをくれたあなたに
「ふむ。して、お前はその子をどうしたいと思っている?」
腕を組み、目をつぶって聞いていた親父だったが、俺の答えを分かっているとでも言うように意味ありげに微笑を見せる。
『俺は、あの子を助けたいです。
いや、俺が欲しいんだ。軽い気持ちじゃない。』
後半は感情のままに言ったため敬語が崩れてしまったが、親父は俺の答えに満足したように大きく頷いた。
「龍二の気持ちはよく分かった。
お前の人を見る目は確かだ。心配することは何も無い。その子を助ける事がてきたならばこちらは組み全体で祝福し、護ろう。」
異論はないか、とお袋と銀司を見る。
「もちろん無いわ、龍二がこんなに一生懸命になる子なんて初めてだもの。」
「私もございません。組長と龍二様が認めなさった女性ですので。」
柔らかく微笑むお袋と銀司。
そのお陰か、仕事の話により少し重かった空気がふっと明るいものへと変わった。