全てをくれたあなたに

俺がそう言うと銀司はくすっと笑って眼鏡を外した。



銀司の眼鏡は伊達だ。本人曰く顔を隠すためだとか言っているがその中性的な顔立ちは眼鏡では隠しきれていない。




銀司は眼鏡で隠していた少したれている目を細めた。



その仕草だけでも色気がダダ漏れになっている。



「ほーんと龍二は俺が敬語使うの嫌うよなぁ。」



見た目のまま緩い話し方をする銀司。




『別に、同い年でしかも親しい奴に敬語使われんのが嫌いなだけだ。』




「まぁたまた龍二君たら照れちゃってかーわいっ♪」




にまにまと笑いながら俺の顔をのぞき込む銀次から逃げるようにふいっと顔をそらす。



今の会話でも分かるように、銀次は普段こんな奴だ。



本人は顔を隠すためだとか言っているが、俺は仕事とプライベートの区切りを付けるためだと思う。




まぁ自分でも二重人格とか言っている程だしな。
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