全てをくれたあなたに
『・・・もう遅い、休め。』
顔を逸らしたままそう銀司に告げ、背を向けて自分の部屋へと歩き出した。
「・・・龍二。」
さっきまでの飄々とした銀司でも仕事中の銀司でもない、優しくそして真剣な銀司の声が響いた。
そんな珍しい銀司に足を止めて振り返る。
『なんだ?』
「絶対、絶対に助けような。」
そう言った銀司の顔は小さい頃からずっと一緒にいた俺でも初めて見る顔だった。
『あぁ。』
そんな銀司に俺はふっと微笑み、今度こそ自分の部屋へと向かった。
こんなに穏やかな気持ちになったのは久し振りだった。
俺はあの日から初めてまとまった時間の睡眠を取ることが出来た。