全てをくれたあなたに

路地裏に入り込んでしまった少女に少し焦りを感じながらもいくつも過度を曲がっていく。




途中、点々と赤いシミがある事からまた新たな傷が増えてしまったのだろう。




悔しさを胸に探し続けていると少し開けた道に出た。





あたりを見回していると、後ろから猫の鳴き声が聞こえてきた。




なんとなく振り返ってみると、そこには探し求めていた少女の姿があった。





そこに向かって駆け出すと、少女の体はふらっと傾き始めた。




まずいっ!





俺は走るスピードを速め、危機一髪抱き留めた。



『おいっ、しっかりしろ!』




呼びかけるも少女の意識は既になくなっていた。




人が倒れた時に来る衝撃を予想して多少構えていたが、少女の体は生きているのか分からないほど軽かった。




真っ赤なドレスから伸びるしなやかな手足には重そうな鉄の枷が嵌められており、擦れた皮膚からは血がにじみ出ている。
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