全てをくれたあなたに
凛の病院へ到着すると、凛は既に治療の準備をしていた。
「龍二、話は後で聞くわ。
まずはその子をこっちの部屋に運んでちょうだい。」
俺と同様ほかの看護師にもテキパキと指示を出す凛。
少女の治療をしている間、俺と銀司は凛の部屋、つまり院長室で待っていろと言われた。
『悪いな銀司、手間かけて。』
「な~に今更謝ってんだよ、俺らの仲じゃねぇの~?」
いつの間にか眼鏡を外していた銀司が呆れたように言う。
『おい、誤解を生むような言葉でいうな。』
眉間にシワを寄せた俺を見てけたけたと笑う。
「しっかし、あの龍二がなぁ〜。
1人の、しかもまだはっきりと話したこともない女に恋しちゃうとはね~」
俺未だに信じらんねぇわ〜と笑いながら言う。