全てをくれたあなたに
「はぁ?屋敷!?
おいおい龍二、あの子の傷は間違いなく組員に付けられたものだ。
いきなり屋敷に住ませるってのは混乱させちまうんじゃねぇの?」
一人で勝手に話を進める俺に慌てて抗議する銀司。
『かと言ってどこに住ませる?
俺はマンションでもいいが仕事上屋敷の方が何かと便利だ。
屋敷に住むとなれば確かに危険は伴う。
あいつが不安がるならば俺の部屋に入れてもいい。』
それに俺らも組員だ、それも幹部クラスの。
そう付け加えれば銀司は苦笑いして、
「ったく、適わねぇな~うちの若様には。」
降参とでも言うように両手を軽く挙げた。
「ま、そんな龍二が俺は好きだけど〜?」
その声と共にずしっと肩にかかる重み。
『・・・重い。』
「ちょっとくらいいいじゃねぇの~」
ケラケラと笑いながらも全く離れる気配はない。
「あらやだ、2人ったらそんな関係だったの?」