全てをくれたあなたに
『・・・とにかく、あいつが助かったんだったらそれでいい。
油断はできないがあいつはもうこっちのものだ。絶対に助ける。
ありがとう、凛。あいつの部屋に案内してくれるか。』
珍しくはっきりと例を言った俺に凛と銀司は目を見開いた。
やがてふっと表情を和らげると、こっちよ、と言って歩き出した。
部屋の前に着き、静かに扉を開ける。
白いベッドの上に横たわる小さな体。
俺は布団からのぞく白く小さな手をそっと包み込んだ。
ぴくっと揺れる長いまつ毛。
『凛、こいつの目が覚めるまでここにいてもいいか。』
ゆっくりと振り返り聞く。
「えぇ、いいわ。
簡易ベッドを使うといいわ。シャワーはこの部屋を出て左に曲がったところにあるから。」
急な要望にも微笑んでそう告げる。