全てをくれたあなたに
その日はシャワーを浴びて、日が昇って来たため、そのまま学校へ向かった。
彼女が目覚めぬまま2週間がたった頃。
俺は病室に持ってきた簡易机でいつものように仕事をこなしていた。
すると、
「う、っうぅ・・・」
ベッドからうめき声が聞こえてきた。
俺は彼女の横に椅子を持ってきて座り、細い手を握って額に浮かんだ汗を拭った。
その時、カリカリと扉を引っ掻くような音がした。
扉を開けると、黒く小さなものが足元をかけて行った。
その黒いものはみゃあみゃあと鳴きながら少女の頬を心配そうに舐めていた。
それは、少女が倒れた時そばにいた黒猫だった。
その猫は少女の顔のそばで丸くなると、ゴロゴロと喉を鳴らしていた。