全てをくれたあなたに

俺は少女の横に座り直し、少女の手を再び握った。





すると苦しそうに呻いていた少女は次第に穏やかな顔になり、やがて規則正しい呼吸になった。





俺は暫く少女を見つめていたが、いつの間にか眠りについていた。







深い眠りの中、手の中が空洞になっていることに気付き、はっと顔を上げた。





猫の鳴き声と嬉しそうなゴロゴロという喉の音に少女の顔に目を向ける。





『!!』





早く目覚めて欲しいといつも願っていた少女の目がぱっちりと開き、こちらを不思議そうに見ていた。





その事にほっとし、





『やっと起きたか…』





という言葉が無意識にもこぼれ出た。





取り敢えず凛を呼ぶために部屋を出る。




戻った部屋で少女は子猫の頭を微笑みながら優しく撫でていた。
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