全てをくれたあなたに
「・・・凛。」
どういう事だ?というように龍二は凛を見る。
「水を少し与えたのよ。
そうしたら急に泣き出しちゃって。
単に何かを食べるっていうことが懐かしかったんじゃないかしら、生きてるっていうことが実感出来て。」
心は固まってしまっていても、体は正直なものよ?そう言って悲しげに笑った。
「まぁ、龍二達が来たなら心配はいらないわね。私は仕事に戻るから何かあったら呼んでちょうだい?」
『凛さん』
「ん?何?」
『あの、ありがとうございました。』
「ふふふっ、いいのよお礼なんて。
それと敬語も使うことはないわ。」
嬉しそうに笑ってそう言うと凛は出て行った。