全てをくれたあなたに
「っ」
怯んだように息を詰まらせる銀司。
『・・・本当のあなたはどんな方ですか?』
「くくくっ」
私の言葉に対する銀司の反応が面白い、とでも言うように笑いをこらえる龍二。
「銀司、お前の負けだ。」
「はぁ~っ、参ったわ~」
さっきまでの探るような目線は無くなり、今度は優しい目を向けてきた。
流れるような仕草で眼鏡を外すと私の手をとって膝まづき、
「先程は失礼しました、お姫様。
龍二の親友の赤松銀司、気軽に銀司って呼んでな~」
チュッと手の甲にキスを落とした。
「・・・銀司。」
「おー怖っ!」
飄々とした態度で龍二から逃げる銀司。
ベッドの上では黒猫が銀司の名残を消すように手の甲をしつこく舐めていた。