全てをくれたあなたに
その感覚に閉じていた目をうっすらと開けると、それに気づかない龍二がスッと体を離そうとした。
咄嗟に目の前に垂れてきていたネクタイをキュッと掴む。
「っと、・・・真白?」
クンッ、と離れかけた体が急に引き止められて戸惑う龍二。
「・・・寂しいんじゃね〜の?」
うつらうつらとしている私を気遣ってか、小声で話す銀司。
ギシ・・・と、ベッドが軋んだ。
龍二はネクタイを掴む私の手を丁寧に離すと大きな手で包み込み、反対の手で優しく頭を撫でた。
すぅ、と眠りに引き込まれていく。
『気持ちい・・・』
もう眠ったと思った龍二が手を離すと、
『・・・もっと・・・さわって・・・』
つぶやくようにそう言って眠りについた。
私が眠った後の部屋で、
「・・・参った。」
「絵的に龍二がロリコンとしか見えなかったわ〜」
「俺はロリコンじゃねぇ。」
「でも否定出来ないでしょ〜」
「まぁな、しかし無自覚って怖ぇ。」
「シチュエーション間違えたら完全にそれだったな〜。ま、頑張れよ。」
「あぁ・・・」
なんてやり取りがされていたなんて知るはずも無い。