全てをくれたあなたに
『夏希さん、私小さい子じゃないのに・・・』
「あら、真白ちゃんは充分小さいわよ?」
『む。』
身長のことだと思ってむっとする。
『身長はこれから伸びるもん。』
「んー、それだけじゃなかったんだけど、まぁいいか。
じゃあ真白ちゃん、大きくなれるように夕ご飯たくさん食べてね!」
龍二も早く来なさい、と言って夏希は食堂に向かった。
だが龍二はなかなか歩き出さず、顔を見ると何かを考えているような顔をしていた。
『龍二、早く行かないと怒られちゃうよ?』
「あ?あぁ、悪い。」
私の呼び掛けにはっとすると、龍二らしくなく濁った返事をしてきた。
どうしたのか聞こうと思ったが、食堂はもうすぐそこだったらしく、中に入ってしまって聞くことが出来なかった。
中はとても広く、長いテーブルが沢山並べられていた。
まだほとんどの人が来ておらず、奥の方には仁と夏希が座り、仲良く話していた。