意地悪したいの。
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...で、できたよ?
何が?
疑問に思いながらも、
先輩の身体が離れていくのを感じ、
ほっ..と安堵する。
そんな私を見て、
『藍やば。...本当は、人間じゃなくて
リンゴかトマトだったんじゃない?』
「っ!?」
目を見開いて、急いで頬っぺたを
両手で覆う私を見て
一瞬、キョトンとしたように
瞬きを数回した先輩は
『...っく、』
突然、お腹を抱えて
爆笑し始めた。
「ちょっ..!笑わないで下さいよ!」
『だって...っぶっ、』
あの、毒舌っぷりからは
想像もつかないくらい、
くしゃっ..とした綺麗な笑顔。
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「...先輩、笑いすぎですって。」
『...はー、んと、面白すぎ。』
しばらくして、
息を整えた先輩が
また、私に手を伸ばしてきて。
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「わっ!?」
何故だか、ネクタイを引っ張られ...ん?
「ネクタイ違う!?」
『え?今気づいたの?遅。』
無地のネクタイだったのに、
柄が入ってる!
1人驚いていると、
まだ、完全に結びきれていない
そのネクタイを先輩が指さした。
『コレ、自分で縛って。』
「え?」
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『このネクタイは、生徒会の人間だけが
身につけられる物なんだってば。』
「...ほぅ。」
区別のためか。
そんな事を思いながら、
ゆったりとネクタイを結ぶ。
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...
「はい。出来ましたよ。」
『...へったくそな結び方だなぁ。』
はぁ...と小さく溜息をついた先輩。
戸惑う私をみて、
最高の笑顔。
『僕はこの学園の生徒会長、佐倉 侑。』
さくら...ゆう。
なんだか、名前まで可愛い。
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私の目線を合わせるように、
ちょっとだけ、首を傾ける。
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_____________"宜しくね?生徒会の下っぱちゃん。''
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何故か、
「...は、はぁ、」
生徒会の一員になった。
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