天使の優しい心
始まりは空
 ここは県内でも有名な空愛病院。大きな建物で文句のつけようがなく、反対に多くの患者さんから好かれるくらいだ。私もその内の一人。名前は萩野柳。心臓が弱く夏休みや冬休み、春休みなどはほとんどが病院で送る日々。
「こんにちは柳ちゃん。気分はどう?」
「佳代ちゃん。」
横に開く扉から花束を抱えた同級生の村田佳代が入ってきた。クラスの中で一番仲がよく病気のことも真っ先に心配してくれる心優しい女の子。
「佳代ちゃん。今日も空が綺麗だね。なんだか病気が一瞬で治りそうだよ。」
「ほんと、柳ちゃんは空を見るのが好きだね。」
私のくせは毎日見てるのに飽きもしないでずっと空を眺めること。あのゆっくり時を流れる雲と透き通った青い空が好き。
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