無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 玄関の掃除をしながら、ふと空を見上げたユキは箒を持つ手を止めた。


 バレンタインの空は今にも雪が降り出しそうに薄暗いが、

 そんな空さえも今のユキをときめかせる。


 昨日までの自分とは生まれ変わったように別だと感じる心と体…… 


 ふと宙のぬくもりを思い出してお腹の底から恥ずかしさがこみ上げてきた……。



 何も言わずにチョコレートだけを置いて、

 逃げるように帰ってしまったが、

 宙は今頃どうしているだろう……


   どう思っているのだろう……


 もしかしたら軽い女だと思われてしまっただろうか?



 ブブブ とエプロンのポケットの中でスマートフォンが揺れ、

 開いて見ると宙からのメールだった。



『おはよう

 チョコレートありがとう  宙』
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