無垢なメイドはクールな彼に溺愛される


『相変わらず忙しいですか?

 ほんの少しお茶だけでも会えませんか?  ユキ』



 あの日のメールがユキから来た最後のメールだ。



 ニューヨークから帰ってきたその足で向かった、パントム。

 西園寺常務から、今回の問題で重要な鍵を握っている官僚を

パントムのクラブラウンジで捕まえたとの報告が入った。



 パントムに向かうタクシーの中でユキからメールがあったが、

同行した社員とずっと話をしていたので長い返事を書く余裕はなかった。



 彼らとタクシーで別れ、パントムに入るとロビーで偶然、蘭々と会った。


 上層階のラウンジまであがる途中ずっと蘭々と一緒だったこともあって、

メールのことも気にはなっていたがそのままになってしまった。
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