無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

『ん? なんだか声が変 どうかした?』

「え、いえ なんでもありません」

 電話は西園寺常務からで、氷室仁と桐谷遥人そして蘭々が料亭『月夢』にいるという。

 一緒に昼食をとろうというものだった。



「大丈夫? 顔色も悪いけど」


 西園寺常務も今回のごたごたでは相当疲れていたが、鈴木の様子は尋常ではなかった。

 うたた寝の時でさえ姿勢を崩すようなことがない男が、リムジンのドアに寄りかかるようにしてガックリとうな垂れているのだから。



「すいません 疲れが出たみたいです」

 と、大きく息を吐きながらほんの少しだけ上を向いたが、

またうな垂れる鈴木が西園寺常務も本気で心配になった。


「医者呼ぼうか? 帰る?」
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