無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
ゲホッとお茶を吹き出しそうになった鈴木は、息を殺してなんとか堪えた。
「結婚? なにその理由」 と、聞いたのは遥人だ。
「うちは厳しいんだよ 派遣先の恋愛にね
仮にそれを言わないで雇い主先の子と付き合ったりしたら容赦なくクビだ
それにはっきりした正確な理由がないと異動はしないしな」
どうにかお茶を飲みこんで呼吸を整えた鈴木は、素知らぬ顔で話に加わった。
「付き合う前に、先に会社に了解を取るわけですか?」
「そういうこと」
氷室仁の言う一言ひとことがグサリと鈴木の心臓に刺さったが、桐谷遥人もその話には興味があるらしい。
無理に声を出さずとも、その先は二人の会話に耳を傾けるだけで済んだ。
「へえー で、どうするの?」