無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 ユキがどんな男が好みなのかはわからない。

 西園寺家のジムやスポーツクラブでそれなりに鍛えているから自分の体に自信がないわけではなかったが、肉体派の男と比べられては……


 そんなことを考えるうちリムジンの中にいることも忘れ

「―――― ハァ……」

 と、左右に首を振りながら大きくため息をついた。



「……重症だね

 死神に、魂が抜き取られるみたいだな」


 西園寺洸が呆れたように目を見張って鈴木を見ていた。


 鈴木は慌てて

「あ、す、すいません」

 と、うっかり地で謝った。


 もう取り繕う余裕もない……。
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