無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

「ええ、ちょっと色々買いたいものもありますし
 土日も休みませんでしたので」


「ねー君さ、やっぱり役員になってよ」


「有給休暇を取り上げたいと?」


 ニヤリと悪魔のように西園寺常務は笑った。

「僕も有給休暇はないよ」


「部長から今年度も有給休暇が取り足りないと注意されました」

 それはそうだろう、記憶にある限り本当の有給休暇は三日しか取っていないし、休んだとは言っても仕事の用事だ。

 休日出勤まで入れればどれほど労働基準法に反していることか。


「そう
 じゃあ、あと数日休んだことにしておこうか 書類上」

 西園寺常務はツーンと澄まして横を向いた。


 まぁ実際のところは、そう休みたい訳ではないので

「ではよろしくお願いします」 と、鈴木は西園寺常務の執務室を出た。



 カチャ



――これでよしと


 さあて、休みは取ったがどうしよう……
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