無垢なメイドはクールな彼に溺愛される


  ***



―― まだ七時か


 体力的に疲れが溜まっていることも本当である。

 西園寺家の主治医にも異常がないからといって不死身ではないことを忘れずに、と注意をされた。

 せっかく休みを取ったのだからとゆっくり寝るつもりが、目が覚めてしまって寝ようにも眠気が襲ってこない。

 仕方なく起きた鈴木は、朝食のトーストを食べながら、さてどうしたものかと考えた。



 仮にも崎田は優秀な警備員だ。

 下手に後をつけたりしたら間違いなくバレるだろう。

 後をつけるとしたらユキしかない。

 メイドの行動パターンを想像する限り、自由な時間を取れるとしたらそれは恐らく二時過ぎで、夕方までには邸に帰るはず。

 だが、彼女が仕事を休んだのならそれはわからない……。
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