無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
花言葉 ―君を愛す ―
鈴木がタクシーに乗りこんだ頃、
株式会社KIRITANIの専務室でバシバシと真優が机を叩いていた。
「聞いてっ! すぐにっ!」
「わかった わかった」
会議から戻るなり、真優に「大至急2月25日の鈴木翼さんの予定を聞いて!」と、ものすごい勢いで詰め寄られた遥人は
「はいはい 聞くけど理由を説明して」
と、落ち着いた声で答えた。
「ユキが…… ユキが生徒会長に弄ばれているのかもしれないの」
「え?……弄ばれる?
ちょっと待ってどういうこと」
「細かい事は言えないの
でもね、その日の夜、生徒会長がどうしてパントムにいたのか
その理由がわかればそれだけでいいの」
可愛い恋人が「ユキが……ユキが……」 と半泣きになっている姿には弱い。
それ以上詳しい事は聞かず、真優にソファに座るように促して、
遥人は西園寺洸に電話をかけた。
「洸さ、2月25日夜
生徒会長がどうしてパントムにいたのか知ってる?」
ソファーに座るどころか、遥人の隣に来て自分の耳をくっつけようとする真優を、指先でくすぐったりしながら追い払った遥人は、
真優を警戒しつつスマートフォンを左手に持ち替えて話を続けた。