無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
エピローグ~アネモネの赤い花束
あっはっは
「腹イテェ」
「だろ、 最高だよな」
声を殺しつつお腹を抱えて笑うイケメンが一人。同じく笑い転げるイケメンが一人。
そして……
「ったく、呆れて話にならないよ」
ムッと眉をひそめて珈琲を飲み干すイケメンが一人。
今日は日曜日。
昼下がりのカフェにいる三人の若い男は、それぞれが目がくらむほど輝かしくゴージャスで、
外に並んでいるリムジンが彼らのものであることは疑いようもないが、
その割には声を潜めて目立つことを嫌っているように見えた。
そんな様子が益々好感度をあげていることなどお構いなしに、
楽しくて仕方がないらしい彼らは、三人だけで一つの世界を作っている。
そこから微かに漏れ聞こえる曇りのない笑い声が、
どうにかしてあの和の中に入れないものかと女性たちの心をヤキモキさせていることなど、
彼らには全くと言っていいほど関心がなかった。