無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
　それから一時間後、


　！

「どうかしたの？崎田、顔が赤いよ」


　真優にそう言われた崎田は、コホンと咳をしてトレードマークの皺を眉間に作り、
　スッと背筋を伸ばした。


「い…いえ、なんでもありません

　あの…　ユキさん…も？パーティ…に？」



　青木家がもともと雇っていた運転手は青木家の主人専属になり、
真優の外出には崎田が車を運転して同行することになっている。

　が、それを見送るはずのユキが、
普段見ることのないドレスを着てしっかりと化粧をして美しく着飾っているのだから、
崎田が驚くのも無理はなかった。


「…すいません」


　襟元を毛皮で温かく包むコートをまとったユキは恥ずかしそうにシュンと俯いた。

　コートこそ自前だが、身に着けているアクセサリーは真優から借りた物だ。

　あれこれと付けたがる真優を制止して、ジュエリーボックスの中で一番目立たなそうなネックレスとブレスレットを借りたけれども、それでもやはり豪華に見えるのは本物の宝石ゆえだろう。


「どうみても変ですよね……」


「いや！とんでもないっ！」

　慌てたように崎田がブルブルと左右に手を振った。
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