無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
「あーー！　なーんだ崎田もユキが好きなんだねー

　大石さんもユキのことが好きみたいだから、崎田！負けないようにがんばって！」


「ちょっと！お嬢さま
　何を言っているんですかっ、やめてくださいっ」


　クスクス笑いながら真優にバシッと背中を叩かれた崎田は、
「大石のやつ…やっぱり」とか口ごもりながら真優側のドアを閉じると、
ユキが立つ側へ移動した。



　スッと腰を座席に落としたユキの白く細い足首が、崎田の脳裏でチラチラと蠢く。


　揺れるドレスの裾から覗くスラリと伸びたユキの足は、
折れそうなほど細いヒールの靴を履いていた。

　ユキが乗ったところでドアを閉じ、運転席に乗り、
チラリとバックミラーを見た崎田の目に、長い髪をアップにまとめたユキの横顔が映る。


　その白いうなじが目にとまり、慌てて前を向いた崎田は、チッっと舌打ちした。


――あんな靴では真優お嬢さまに何かあった時、走れないじゃないか


　そんな心の呟きが自分に対する照れ隠しであることを崎田はわかっている。




「では行きましょう」　　

「はーい」

「よろしくお願いします」


　キリッと眉をひそめた崎田は、無骨な見た目とは裏腹に、静かにゆっくりと車を発進させた。
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