無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

――お嬢さま? 


 もしかして、お嬢さまは気づいていたんですか?


 だから、七年前のあの時……


『今後、木村に声をかけられても無視してください
 あの男は信用できません
 私も友人として縁を切りましたから』

 ユキがそう言った時、
 理由も聞かず、ただニッコリを笑って『うん、わかったよ』と頷いた真優を思い出した。



 お嬢さまは木村に不信感を持っていたからこそ、木村に声を掛けられる度に私に報告して、警告を発してくれていたんですね。



―― お嬢さま……


 ユキが木村を好きだと知っていたからこそ、一生懸命気づかないふりをしてくれた真優の優しさに今更ながら気づいたユキは、こみ上げる思いに溢れそうな涙を堪え

 心の中で精一杯お礼を言った。



―― ありがとうございます お嬢さま
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