無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
 男性が言うには、
ユキとは知人ではあるが、住所や連絡先などは知らないとのこと。

 酔いが覚めたユキが不安にならないよう女性に介抱を頼み、
宿泊費は払ってくれたこと。


 その男性は酔い止めの薬を買ってくると言い一旦外に出て、
ジュースとドリンク剤を持って部屋に入ったが、
部屋でその男性とユキが二人きりになったのはせいぜい一分程度のことだったことなどを、

フロントの女性は丁寧に話てくれた。



「そうでしたか

 それでその方の連絡先とかは…
 あ、あのお礼をしたいのですが」


「申し訳ございません、
 個人情報ですので私共からお知らせすることはできないのでございます」


「……そうですか」


 やはり教えてはもらえないのかとガッカリするユキを励ますように、
フロントの女性は頬を染めて


「本当に素敵なご友人ですね」と言った。


「え? ―― ええ……」

「お若いのに、とても紳士で」


「そうですね、ええ、とてもいい方で……」


「お客様がエレベーターでついに崩れ落ちてしまわれると、あの方がスッと抱き上げて」


「えっ!」
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