無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

　昨夜駐車場で桐谷遥人から事情を説明された崎田は、ユキを待つつもりで、すぐにユキに電話をかけた。

　待つと言う崎田と、待たなくていいと言うユキと、
何度かの押し問答の末『待って頂いては気が気じゃありませんから』とキッパリとユキに断られて、

　崎田は仕方なく青木邸に帰ったのである。



「すいませんでした、ご心配おかけして」

　頭を下げたユキをしげしげと見つめながら、


「何があったんですか？」

　と、崎田は不愉快そうに眉を顰める。


　こんなにも心配してくれる人が次々と現れるというのは心から有難いことだと思いながらも、崎田の心配については余計なお世話だとあやうく口から出そうになり、その不誠実な言葉をユキは寸でのところで呑み込んだ。


「もぉー崎田さんまで、あのね、大丈夫です

　いいですか？　私も二十八歳の立派な大人なんですよ

　夜、怪しいところには行かないし、危ない事はしません！」