無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
――あの時、落としたのか?


 だとすればホテルが保管しているか、

  彼女が拾って持っているか――



 そこまで考えたところでチラリと西園寺洸を見た鈴木翼は、いつものように落ち着いた微笑みを浮かべて、優秀な秘書らしく上司を促した。



「ええ、いましたよ

 さあ常務、会議のお時間です」


「…」

 西園寺洸は不満そうに眉を歪めたが、それでも組んだ長い足をゆっくりとはずし会議に出席すべく立ち上がった。
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