無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

「週末のミスターウィンと会うことになってね
 食事の後、軽くの飲みに行こうかと思うんだ

 どこがいいだろう?」


「――ミスターウィンですか……」



 ミスターウィンは物腰の落ち着いた紳士で特に女好きというわけではない。

 静かなところがいいだろう……と考えて、

 最初に頭に浮かんだのは昨夜行ったバー、ホテルパントムの『Bijou』だった。



 だが鈴木は寸でのところで思い留まり、別のホテルのバーを勧めた。

「レーヴはどうですか?」



「うーん、悪くはないけど

 昨日、君が行ったところはどうなの?」


 揶揄するような視線を後ろに感じながら、鈴木は心の中でため息をついた。


――さっきの話は常務の中で、まだ続いているらしい……
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