無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 女性の服装には疎くても、彼女が首につけた宝石や手首で光るブレスレットは、その輝きからそれなりに高価なものであると見てとれた。

 ずっと一人でいるところをみると、連れがいるわけでもなさそうであったし、
それに、男の誘いを待っている風でもなかった。

 そういう女性たちが発するサインを、彼女にはまったく感じなかったのだから。



 年のころは自分と同じくらい。

 若い女性が一人で来るにしては少しだけ場違いな気もしたが、一人だからこそ安全な高級ホテルのバーで時間を潰しているのかもしれない。

 ホテルに呼んだ迎えの車やタクシーで帰るとなれば何も危険なことはないだろう……

 たとえ彼女が裕福な家庭のお嬢さまでも……



 そんなことを思いながら、いつしか無遠慮に彼女を見ていた。
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