無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 事情はわからないが、

 そのスッと伸びた背筋が彼女の強い意思を表している気がして、その気持ちを尊重してあげたいと思ったのだ。


 ロックが解除できるかどうかはわからないが、ものは試しと電源を入れてみた。

 ところが、驚くべきことに彼女のスマートフォンには指紋認証どころかパターンロックもなく、キーマークをスライドさせるだけで画面は簡単に開いたのである。


 不用心なことに呆れながら、
画面を操作してまた首を傾げた。


 不思議なことに、スマートフォンのアドレス帳には何一つ登録されておらず、着信履歴も送信履歴も空だった。更にSNSの類いは一つも入っていない。


 SIMフリー通話なしのスマートフォンなのかとも思ったが、それにしてもメールの履歴もないというのはどういうことなのか……。
< 74 / 316 >

この作品をシェア

pagetop