無垢なメイドはクールな彼に溺愛される
事情はわからないが、
そのスッと伸びた背筋が彼女の強い意思を表している気がして、その気持ちを尊重してあげたいと思ったのだ。
ロックが解除できるかどうかはわからないが、ものは試しと電源を入れてみた。
ところが、驚くべきことに彼女のスマートフォンには指紋認証どころかパターンロックもなく、キーマークをスライドさせるだけで画面は簡単に開いたのである。
不用心なことに呆れながら、
画面を操作してまた首を傾げた。
不思議なことに、スマートフォンのアドレス帳には何一つ登録されておらず、着信履歴も送信履歴も空だった。更にSNSの類いは一つも入っていない。
SIMフリー通話なしのスマートフォンなのかとも思ったが、それにしてもメールの履歴もないというのはどういうことなのか……。