無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 そんなふうに思ったりするうち、
しまいにユキはあの時いっそ私のスマホを覗いて『月下美人』を知ってくれたら良かったのに!


 そして友人Sですとブログに遊びに来てくれたらいいのにと、
そんな風に思ったりもしていた。


 なのでブログの更新はまめにしているし、コメントを知らせるメールが届く度に胸を躍らせているのだが、
 ユキの期待は空しく、友人Sからというコメントが入ることはなかった。



 宙からもここしばらく何の音沙汰もなくて、ちょっと寂しかったところに飛行機雲の写真である。


ユキの心は否が応にも弾んだ。




 その日の夕方には、宙からの返事が届いた。




『ボクもうれしいです   宙』




 うふふ

 相変わらず短い文章だし返事もあったりなかったりだが、


 その距離感がユキには心地良かった。
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