無垢なメイドはクールな彼に溺愛される

 真優の言葉はもちろん、青木夫人の言葉も全てが本音であった。


 ユキがいなくなればどうなるか。


 新しいメイドを探すと言っても、ユキのように信用できて優秀で気兼ねなく何でも頼めてといった様々な条件もさることながら、
 そういう人物を見つけ出し、更には一から強い信頼関係を築きあげていかなければならないのだ。


 それまでの途方もない苦労を考えただけでも眩暈がするようだった。


 できることならユキにはずっと、青木家にいてほしいと心の底からそう思っているのである。




「ここにずっと住んでくれるのはうれしいの

 でも、やっぱりユキにも結婚して幸せな家庭を築いてほしいわ


 ねぇユキ、独身主義者だなんて言わないで
 結婚をして、できればその後もうちの仕事も続けてちょうだい」




「――奥さま……


  ありがとうございます」
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