瑠璃色の姫君




「それにたぶんあの運転手さん、紅茶とか上品な飲み物が好きそうじゃん!」


「そう見えるか?」


「きっとそうだよ。王女はそんなんじゃなくて、コ……」


「こ?」


「こー…コーヒーが好きだからさっ!」



コーヒー?


レティシアが?



「それはないよ」


「え、なんで?」


「だってレティシアって甘党だから」



僕の誕生日に毎年届いたレティシアからの手紙とプレゼントを思い返す。


手紙には、毎年少しづつ上手くなる達筆な字で書かれた祝いの言葉とプレゼントの詳細があった。


プレゼントは、綺麗に可愛らしくラッピングされた砂糖菓子(コンフィズリー)の代表とされるお菓子で、名前はなんと言ったかな、忘れてしまった。


果汁をペクチンでぎゅっと固めたいわばフランス風グミ、といった感じだったか。

フルーツのさっぱりとした甘さがほどよくて美味しくて、カラフルで小さな可愛い四角の形をした、大好きなお菓子。


それは、幼い頃オリーヴェンに招かれた時に出してくれた思い出の味だから尚更好きなものなのだ。



『上に乗っている砂糖が雪みたい!』



初めてそれを見た時のレティシアのキラキラした瞳と発言は、今も鮮明に覚えている。


レティシアも大好きなそのお菓子は、砂糖菓子であるが故に甘いわけで。



「レティシアは昔から甘党だから、苦味のあるコーヒーは好まないと思う」



だから僕はそう考えたのだ。





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