瑠璃色の姫君
「おーい、バベルどしたのー?」
突然かけられた飄々とした声に、肩が震えた。
「あ、ああ、何でもない。平気だ」
「あんまり思い悩むのはやめてよね、面倒だからさ」
一見突き放されたように感じる冷たい言葉に、僕は先程とは違う意味で肩を震わせてた。
「なに笑ってんの」
「くく、ごめん」
ちらちらと僕を見てくることから、本当は僕のことを気にしてくれているのだとよくわかる。
そうだった。
フリュイってそういう奴だよな。
普段ツンとしてるくせに、根は優しい。
少しだけ、心がほっこりした。
ネガティヴ思考に陥るのはやめよう。
僕は、今までの彼女も、今の彼女も、彼女自体を信じるんだ。
僕はレティシアが好きなのだから。
彼女が僕を迷惑だと思っていようと関係ない、という風に思うようにするんだ。
僕は彼女のために真っ直ぐするべきことをする。
それが、僕なのだから。
「いい加減笑うのやめてよ」
「うん、……くくっ」
不器用なフリュイがおかしくて。
すごく有難くて。
僕は、いい相棒を持てたと心底思った。