瑠璃色の姫君
嫌な予感がする。
眉根を寄せ上げ怪訝な顔をする僕。
そんな僕を嘲笑うかのように男が口の端を上げた。
その顔に嫌悪感を抱いた。
次の瞬間。
「バベル後ろ!!」
フリュイの叫び声が聞こえて。
振り返ればフリュイと戦ってた男の姿。
その先にはカーラと共にいるフリュイ。
良かった、フリュイは無事なんだな。
そう頭の真ん中で考える傍、男がどんどん僕との距離を詰める。
いつの間に僕に飛びかかったんだ。
僕はそれを防ぐ隙を見つけられなかった。
男が近付くのがスローモーションのように見えるくせに、手が出なくて。
「バベル!!!」
余裕をかましていた僕は心底バカだね。
何が剣の大会での優勝経験がある、だ。
格好つけられる立場じゃなかった。
油断大敵、自分に言う言葉だったね。
遠のいていく意識の中で、フリュイが僕の名前を叫んだのが聞こえた。
そんな気がした。