瑠璃色の姫君
「あー笑い疲れたー」
一頻り笑った僕は、鞘に剣を納めて男の前に座り込んだ。
「さてと。おにーさん、名前は?」
「は?」
怪訝そうな男に僕はにっこり微笑んでみせた。
「いやぁ、覚悟のある心の強い人だな、と思いまして。是非お名前をお伺いしたい」
「そ、それはどうも」
名乗りはしなかったけれど、僕の微笑みに少し頬を染めた男。
このまま事は上手く運びそうだ。
「是非とも仲間入りしてもらいたいと思いまして」
「あー……はぁ?」
んー難しい。
流れ的に上手くいきそうだったんだけどなぁ。
説得しなくちゃいけなくなってしまった。
まあいい。
王子なんだから言葉を上手く使って説得するのくらい慣れている。
チョロいもんだ。
「おにーさんが今ここにいることは、お仲間さんに見捨てられたことになる。それはわかってます?」
「馬鹿にしてるのか」
「いやいやぁ、そんなことないです。だったらここで命を張ることなんてないのに、おにーさんは張った」
「ここでアジトの場所を口にすれば皆が危険に晒されるからな」
ほろりと出てきたその考え方に、僕は大袈裟な程の拍手を送った。