瑠璃色の姫君




「その考え方が素晴らしいと惹かれるものがあったのです」


「……素晴らしい、か」


「ええ。しかし仲間意識の強いおにーさんですが、カーラが女だからと手を抜いたりしていたのではないですか?」


「そ、そんなことはない」



男の様子は謙遜しているようにも見えるが、僕にはそれが焦りだとわかった。



「嘘をつくのはやめたらどうです?」


「嘘ではない。俺はその女に負けたのだ」



あくまでも言うたことを変えようとしない彼を見下ろして僕は言った。



「勝てたのに手を抜いた、の間違いではないか。だってあんたはオリーヴェンを代表する元聖騎士だろう。カーラに勝てないはずがない」



言い切った僕を、男は目を見開いて見てきた。



「お前、何故それを……!」



ビンゴだ。


わなわなと震える指先で、僕を指差す男に、僕はまた微笑んで帽子を取ってみせた。



「シュトラント王国の王子、バベルと申します」



金春色の僕の髪を見た男の顔と言ったら。


目が飛び出そうなのかと思った位だった。





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