瑠璃色の姫君




「うん、それでフリュイと会って一緒に旅してきたんだ。アドルフはレティシアについて何か知らない?」


「しばらくお会いしてないので……」


「そうだよね……」



濁された答えに、残念に思う。


どんな些細なことでもレティシアのことなら聞きたかった。



「あっ、でも」


「何!」


「レティシア様は幼い頃と変わらず、天真爛漫ないたずらっ子ですよ」


「へえ、そうなんだ」



何だその情報、と思ったけれど、かくれんぼを提案してくるあたりに納得した。


確かにそうだ。


まるで子供みたいな感じ。


フリュイと同レベルだ。



「てことは、単純ってこと?」


「あーそうですね。良くも悪くも単純ですね」



ということは、あの場所にいるのでは……。



「バベル様?」


「あ、ああ」


「当てがつきました?」



……なんだよ、アドルフのやつ。


その顔は、既に全て知っているとでも言うかのような顔で。


ピーコックに潜入するのと同時に、レティシアのことを見守ることも使命に入っていたのではないか?


僕は片眉を上げて薄く笑った。



まあ、兎にも角にもそれより先に今はフリュイの事だ。



「フリュイを取り返したら、すぐにレティシアの元へ向かうよ」



そう断言すれば、アドルフはふっと優しげに笑った。



「あの、バベル様。お話してもよろしいですか?」


「ん?」



馬を走らせながらその淡い赤のポニーテールを揺らすカーラがアドルフとの話が終わるのを待っていたかのようなタイミングで話し出した。




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