瑠璃色の姫君
バン!!
大袈裟なほど力強く開けられた扉。
すかさずカーラとアドルフが中へ入る、が、首を左右に動かしていてどこか様子がおかしい。
だが、それに気付かなかった僕は、
「桜色の瞳の少年を返してもらおうか!」
そう高らかに宣言して、中に入った。
そして、現状に目を疑った。
「……どういうことだ?」
そこにいたのは、縄で縛り付けられて座り込むピーコックの男達の姿だった。
「みんな、どうしたんだ!?」
「アドルフ、無事だったのか」
「ああ。それより何があった!?」
バタバタと男達に駆け寄ったアドルフは、1人の男から事情を聞いた。
「オリーヴェン騎士団の人間が来て、兄貴達はあの少年を連れ去った罪とかで連行されちまったんだ……」
兄貴、というのはたぶん僕らが戦った奴らだろう。
それよりも、フリュイを連れ去った“罪”って。
「何故オリーヴェン騎士団の人間が?」
聖騎士アドルフは目を丸くして男にそう尋ねた。
男はゆるゆると首を振った。
「わからない。突然来たんだ」
「……そうか。で、あの少年は?」
「兄貴が奴隷のオークションに出したからわからな、」
「はぁっ!?」
即座に大声をあげたのは僕だった。
「おいお前! それは売り飛ばしたってことか!」
「ハイ……。珍しい目をしていたから高く売れそう、って兄貴言ってました」
僕の剣幕にすっかり縮こまったピーコックの男は、ビクビクしながらそう言った。